第16回アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭
公式カタログ
16e FESTIVAL INTERNATIONAL D'AVORIAZ DU FILM FANTASTIQUE
COMENTS  1988年1月16〜24日に開催されたアボリアッツ国際ファンタスティック映画祭の公式パンフレット。アボリアッツはパリから6時間のフランス東南部の街。別名「雪と映画のフェスティバル」。この映画祭はかつて無名だったスティーブン・スピルバーグやデビッド・リンチに賞を与え世に送り出したことでも有名。パンフの表紙はアニメ「デビルマン」のセルより選ばれたもの。詳しくは「サントリー東京国際ファンタスティック映画祭 '88 公式カタログ」「日経トレンディ 1988.4月号 (No.5)」で述べられている。

サントリー東京国際ファンタスティック映画祭 '88
公式カタログ
COMENTS  1988年10月21〜28日に開催された第4回の東京ファンタの公式パンフレット。アボリアッツ映画祭の特集が4色4ページ掲載されている。豪マンガによる「アボリアッツ日誌」や写真・各賞に授与された4つの永井豪作品も掲載されている。

1/156:00 パリ着
ホテルに落ち着く間もなく,シュシャン氏(映画祭主催者)と共にTV出演。
1/168:00 パリ,リヨン北駅発
バレリー・カプリスキー等審査員,ジャーナリスト達と,映画祭貸し切りのTGV(新幹線!)で,アボリアッツへ向かう。車中マイケル・ヨークと対談。
14:00 トノン・レ・バン駅着
審査員達はタクシーで会場へ。ジョン・アービン夫妻と同乗。
16:30 "NEAR DARK" 鑑賞。
1/1711:30 "PARROUILLE DU MATIN" 鑑賞。
15:00 アンテン2 TVインタビュー。
19:00 "ROBOCOP" 鑑賞。
1/1812:00 日本のTV番組のため"ROBOCOP" のプロデューサー,監督,ピーター・ウェラー(主演男優)らと会見。
15:30 美術監督の神様,アレクサンドル・トロネール氏と自室で話をする。
18:30 "CHINESE GHOST STORY" 鑑賞。映画が始まる前,マイケル・ヨークから,前日のTV出演について誉められる。
20:30 "THE PRINCESS BRIDE" を鑑賞。
22:30 トロピカル ディナー。バレリー・カプリスキーから「貴方の作品見せて〜」と迫られる。バレエダンサーのパトリック・デュポンと会う。
1/1911:30 雑誌インタビュー(何だったか忘れた)。
12:30 アボリアッツ到着後,初めて時間ができたので,散歩する。
13:00 プレス主催の昼食会。ウラジミール・ボルコフとフランスのコメディアンと同席。
16:30 "JULIA JULIA" 鑑賞。
18:30 7 a Paris(セタパリ) 誌,CASAS BELLI 誌・アンテン2インタビュー。
20:30 "PRISON"鑑賞。
1/2010:30 "Science et Vie"誌インタビュー。
11:30 "RETOUR A DEGSTGEET" 鑑賞。帰り道で,ミレーヌ・ドモンジョ,マーク・シムノン夫妻と立ち話する。
13:15 宿舎のホテルで,審査員昼食会。1回目の審査。
15:00 映画祭のスポンサーの一つに頼まれ,サングラス姿の写真撮影をしていたら,ファンに捕まり,延々とサインさせられる。その間に,バレリー・カプリスキーが,僕の部屋をおとずれてくれたことを知って,がっかりする。
18:30 ホテルで食事をしていると,ポーランドの映画監督ヴァレリアン・ボロヴィズィックが,彼の新作の主演女優マリナ・ピエロを伴って,僕の席に来る。後で男優も加わる。
21:00 "MAID IN HEAVEN"鑑賞。
23:30 恐怖部門の"GHOST HOUSE" を見るが退屈で15分で劇場を出てしまう。
1/2111:30 Radio FM インタビュー。
12:00 特別出品の日本映画「帝都物語」制作者主催の昼食会。マイケル・ヨーク,奥さんのパットと同席。話が弾む。
15:00 イタリアのTV局 RAI インタビュー。
16:30 "SIESTA"鑑賞。隣の席はシドニー・ルメット夫妻。僕の好きな「オリエント急行殺人事件」と「12人の怒れる男」はルメット氏自身の気に入りと知って嬉しくなる。ランベール・ウィルソンとも話が弾む。
18:30 Premier誌インタビュー。インタビュアーが美人。
20:30 "PRINCE OF DARKNESS"鑑賞。帰り道で主演俳優のドナルド。プレザンスと話をする。映画の印象より小柄なのでビックリする。
1/2211:30 "CASSANDRA"鑑賞。
14:00 日本のTV番組に出演。
15:00 ラジオ(どこだか忘れた)インタビュー。
16:30 特別出品の"TOUT DISPARAITRA"鑑賞。審査員の一人ボロヴィズィック氏の新作。映像がキレイで面白かった
18:30 "THE HIDDEN"鑑賞。
21:00 「帝都‥」のプロデューサー和田さん主催のカレー・パーティー。日本のテレビのスタッフと一緒にくつろぐ。
0:00 招待券をもらったので,ディスコに行く。帰り道,入れ違いで来たバレリーが残念がる。
1/2311:30 "WITCH BOAD"鑑賞。
15:00 フランスのTVのインタビュー。僕のために1時間の特別番組を作ってくれるという。過去に,坂本龍一,ジャッキー・チェンが出演。
17:00 "ANGUISH"鑑賞。
19:00 最終審査会。
21:00 グランプリ発表,授賞式。ファンタスティック映画祭の終了を告げる花火が,雪山を染める。
0:00 招待券をもらったので,ディスコに行く。帰り道,入れ違いで来たバレリーが残念がる。
1/2415:00 アボリアッツ出発。貸し切りTGVに乗り込む。
21:00 パリに到着。

グランプリ受賞「ヒドゥン」に与えられた作品


特別賞受賞「ロボコップ」に与えられた作品


批評家賞受賞「パラダイム」に与えられた作品


審査員特別賞受賞「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」
に与えられた作品


 アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭は,世界で最も審査員メンバーが豪華なフェスティバルである。
 スピルバーグやロバート・デ・ニーロ等の世界のトップ映画人はもちろん,他のジャンルの一流アーチスト達(作家,音楽家,画家 etc)が毎回数人審査員として招待されているのも,この映画祭のユニークな特徴である。
 今年1月,伝統あるアボリアッツ映画祭の第16回審査員メンバーに,日本から漫画家の永井豪氏が特別招待された。
 日本人審査員としては,第9回に大島渚監督が,そして第13回に小林正樹監督が招かれているので,3人目である。
 しかし今回の永井氏の審査員参加は,日本人にとって,新たな国際的な快挙だった。
 というののは,アボリアッツは毎回必ず世界の一流画家を審査員の一人として招くが,選ばれた画家の絵がオフィシャル・カタログの表紙を飾り,さらに最終日の表彰式では,その画家の絵画が,賞品として受賞作品の監督達に与えられるのである。
 つまり審査員として招かれた画家は,その年のアボリアッツ映画祭の顔を担うのだ。
 過去にローラン・トボール,セザール,ニキ・ド・サンファール等国際的な一流アーチスト達が,この栄誉ある大役に選ばれている。
 何故永井氏が?と思われる人も多いだろうが,それは日本人の認識不足で,同氏の作品は世界での評価が高く,特にフランスでは子供達の間で絶大な人気を誇っている。
 それにしても,第16回アボリアッツ映画祭の公式カタログを手にし,その表紙に印刷されている永井氏の絵を最初に目にした時は,同じ日本人としてちょっぴり胸が熱くなった。またその絵柄の選び方が,彼を単なる漫画家としてではなく,一流のアーチストとして敬意を表していることが判り,僕はすっかり感激したのだった。
 その感激は,映画祭の最終日,授与式の時にピークに達する。
 審査委員長のシドニー・ルメット監督を筆頭に,舞台に並ぶ錚々たる顔ぶれの審査員メンバー達。
 そして特別賞の「ロボコップ」のポール・バーホーベン監督や,グランプリ受賞の「ヒドゥン」のジャック・ショルダー監督等に,授賞式のハイライトとして,永井氏の絵が次々に手渡されていく‥‥。
 今年の審査員メンバーの中で最も人気があり,マスコミの取材が集中していたのも永井豪氏だった。
 また永井氏と夫人の人柄は,マイケル・ヨーク等世界の一流映画人とたちまち親しい友人になり,国際舞台での日本を代表した堂々の文化使節ぶりであった。本当にお疲れさまでした永井さん!
(小松沢陽一/東京ファンタプロデューサー)

ゆうばり国際冒険・ファンタスティック映画祭 '99
公式カタログ
COMENTS  1990年にスタートしたこの映画祭。永井豪は第1回に審査員をつとめ,第2・4・8回そして第10回にゲストとして参加。なおかつこの第10回にはポスターも担当し,その絵がこのカタログの表紙にもなっている。2月19〜23日に開催された。

映画の女神が微笑む街
"The Town The Goddess Of Film Smiles Upon"
 ゆうばり国際冒険・ファンタスティック映画祭のフィナーレを飾る,ゲレンデの花火と松明によるショーは,映画祭の中でも特に感動的な場面のひとつです。世界各地から夕張に集まった映画ファンたちが,共に育んだ感動と友情を胸に,再会を誓い合う瞬間なのですが,それはエピローグであると同時に,次回の映画祭に向けてのプロローグなのです。
 イラストの先頭で走っているのは,映画祭に参加した皆さんの姿です。天空からは,映画の女神が祝福を贈っています。
(永井 豪)

雑誌一覧に戻る