永井豪天才マンガ家の作り方教えます! 永井豪、初の自伝的エッセイ 豪氏力研究所

    特報! キューティーハニーをイエローキャブ巨乳軍団がコスプレ、
宮澤正明撮影『キューティーハニーR.C.T. with MEGUMI』ついに発売!


ネットオリジナル『キューティーハニーR.C.T. with MEGUMI』“個人指名版!”
(6人のハニーとハニーフラッシュの写真集未公開カットからお好きなハニーを500円ポッキリでご指名)はこちら!


マジンガーZ、誕生 そのとき僕は、喫茶店で連載中の作品のネームをやろうと、ノートを抱えて道端で信号待ちをしていた。道路は渋滞していて、車はなかなか進まない。僕は、「こういうとき車が立ち上がって、前の車をまたいでいけたらいいだろうなあ」と思った。車がのっしのっしと、他の車をまたいで歩くイメージが頭に浮かんだ。その瞬間、アイディアがひらめいた。


渋滞の道路を見てひらめいた
『デビルマン』の連載開始から約4ヵ月後。僕は、のちに自分の作品の中でも大きなジャンルを形作る、新しい作品の連載を始める。それが『マジンガーZ』だ。デビュー以来ギャグマンガばかりを発表していて、急に『魔王ダンテ』『デビルマン』と悪魔ものを描いたと思ったら、今度は巨大ロボットもの。読者もきっと「なんなんだ、このマンガ家は」と呆れたに違いない。でも僕の中では、ロボットはごく自然なテーマだった。小さい頃から『鉄腕アトム』や『鉄人28号』を読んで育ったし、ロボットはマンガの大きなジャンルの一つだったので、デビュー前から「マンガ家になったら、絶対にロボットマンガを描こう!」と決めていたのだ。

 そもそも高校卒業後、出版社に持ち込みをしていた作品が、『黒の獅子』というロボット忍者の話。石ノ森先生に初めて見てもらった作品もこれで、気に入られてアシスタントに誘われることになった。『マジンガーZ』の後に発表した、『真夜中の戦士』という短編がある。これもロボットが登場する作品なのだが、すでに石ノ森先生のアシスタント時代に、イントロだけはもう描いていた。そういうわけで、いつでもロボットマンガを発表する準備は出来ていた。どうせなら手塚治虫先生や横山光輝先生とは違う、新しいロボットのアイディアを考えよう。思いついたら、すぐに描こう。そう思っていたのだ。

 そのアイディアは、意外な場所で突然やってきた。そのとき僕は、喫茶店で連載中の作品のネームをやろうと、ノートを抱えて道端で信号待ちをしていた。道路は渋滞していて、車はなかなか進まない。僕は、「こういうとき車が立ち上がって、前の車をまたいでいけたらいいだろうなあ」と思った。車がのっしのっしと、他の車をまたいで歩くイメージが頭に浮かんだ。その瞬間、アイディアがひらめいた。「そうか、運転だ。運転するロボットというのはどうだろう?」。アトムとも鉄人とも違う、新しいロボットのアイディアだ。僕は、あわてて事務所に引き返し、すぐにそのロボットのスケッチを始めた。

 どういうロボットにしよう。人間が乗るのは、司令塔という意味でも頭部だろう。どうやって乗り込ませようか。ロボットに人間が乗って動き出すときには、“変身”の要素もほしい。考えた挙げ句、「運転」という発想からバイクを思いついた。主人公はいつもバイクに乗っていて、巨大な敵の攻撃から逃げ回る。そしてバイクに乗ったまま、自分のロボットの背中から頭部へ一気に駆け上がり、合体する。バイクと同じ方法でロボットを動かせたら、操縦だって簡単だ。こうして、“全く新しいロボット”の基本的なコンセプトが出来上がった。


マジンガーのルーツは“獅子王”
image
雑誌の企画で。あんまり見ないでね。
 このロボットのデザイン・コンセプトとして、僕は西洋の鎧を使うことにした。実は、このアイディアは、子供の頃にまでさかのぼる。僕が洋画の面白さに目覚めた小学生の頃、イギリスの獅子王リチャードを主人公にした冒険活劇映画を観た。身分を隠し、謎の騎士としてリチャード王が大暴れするのだが、甲冑を着ていて、兜の顔当てを「カチャン!」と下ろすのがカッコよかった。その映画を観たときに、「西洋の鎧って、まんまロボットだなあ」と思った記憶が、ロボットの造形を考えているときに甦ったのだ。前にも書いたが、「頭部に人間が乗り込む」という発想は、最初のSF連載作品『魔王ダンテ』と共通する。このことに気が付いたのは、かなり後のことだ。

 僕は新しいロボットのスケッチを、そのときマネージャーをやってくれていた弟に見せた。弟は、マネージャーとしてすぐに「いける」と確信したようだった。「これはいいよ! ……で、どこでやろうか?」。相談の結果、マンガよりテレビアニメとして企画したほうがいいんじゃないか、ということになった。そこで、当時『デビルマン』でお世話になっていた、東映動画の有賀プロデューサーに話をしてみた。彼は1〜2枚のスケッチを見ただけで、「預からせてください!」と言って、持って帰った。「気に入ったみたいだね」と弟と話をしていると、スケッチを渡してから1週間後。有賀氏が「決まりましたので、すぐに主人公と敵のキャラクターを考えてください」と言ってきた。

 僕はあわてて、キャラクター設定を考えた。鎧型ロボットの頭部に乗り込むから、主人公の名前は「兜」(甲児)にしよう。ヒロインは「弓」(さやか)と、他の登場人物も、武器から発想した。最初のスケッチでは、ロボットの背中にバイクが駆け上がるためのカタパルトが付いていた。しかし、その頃大人気だった『仮面ライダー』に似るのを避けるために、バイクから「ホバーパイルダー」という垂直昇降機に変え、カタパルトはなくなった。そしてロボットの名前は、最初は『アイアンZ』、それが途中で『エネルガーZ』と変わり、最終的に『マジンガーZ』と決定した。敵も巨大なロボットにして、「機械獣」と名付けた。

 アニメが決定したので、今度はマンガの連載を決める必要があった。といっても、僕はそのときほとんどのマンガ雑誌で、もう何かしら仕事をやっていた。描けそうなのは、『ハレンチ学園』が終わったばかりの『少年ジャンプ』しかない。その頃『少年マガジン』の『デビルマン』に力を入れていたので、次の連載を待ってもらっていたのだ。『少年ジャンプ』は、新連載の企画を伝えると、最初は喜んだが、ロボットものだと聞くと、「えー、今さらロボットですかあ」と難色を示した。『ハレンチ学園』と同じお色気ギャグマンガを期待していたのだ。だけど、アニメはもう制作が始まっている。無理矢理頼み込んだか、交換条件を出したかは忘れたけれど、なんとか連載に持ち込むことができた。

『マジンガーZ』の新連載が始まった。そして、編集部の予想に反して、第1回目からものすごい大反響が返ってきた。

<第31回/おわり>

(c)永井豪/ダイナミックプロダクション2002-2003
(c)Go Nagai/Dynamic Production Co., Ltd. 2002-2003



永井豪(ながい・ごう)
1945年9月6日、石川県輪島市に生まれる。石ノ森章太郎氏のアシスタントを経て、'67年『目明しポリ吉』でデビュー。'68年『ハレンチ学園』を連載開始、たちまち大人気を博し、以後現在に至るまで、幅広いジャンルの作品を大量に執筆し続けている。代表作は『デビルマン』『マジンガーZ』 『凄ノ王』『キューティーハニー』など多数。


ネットオリジナル版・完全未公開カットからお好きなハニーを選んでご指名! キューティーハニーR.C.T. with MEGUMI

永井豪×夢枕獏 対談

永井豪×水木しげる 対談

永井豪×モンキー・パンチ 対談

豪氏力研究所  りてる


講談社は、インターネット及びイントラネット上において、閲覧者が当社の出版物及び当サイト上の画像を以下の行為に使用することを禁止しております。
  • 出版物の装丁及び見開きなどの画像の全体または一部を掲載すること。
  • 出版物の内容及び目次などの全体または一部を掲載すること。
  • 出版物の要約及び出版物を元に制作した小説などを掲載すること。
  • キャラクターの画像及び写真などの全体または一部を掲載すること。
  • キャラクターの自作画(イラスト・パロディなど)を掲載すること。
  • 出版物やキャラクター(自作画を含む)フリーソフトやアイコ ン、壁紙などに加工して掲載すること。
  • 当サイトの内容(画像・データソース)の全体または一部を掲載 すること。
以上の行為は営利非営利の目的いかんに関わらず著作権等の権利侵 害となります(著作権法23条、同条21条。公衆送信権。複製権。その他)。 守っていただけない方には法的手段を講じることも ありますので、ご注意ください。

Copyright(C) 2002-2003 KODANSHA CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED.
webgendai