永井豪天才マンガ家の作り方教えます! 永井豪、初の自伝的エッセイ 豪氏力研究所

    特報! キューティーハニーをイエローキャブ巨乳軍団がコスプレ、
宮澤正明撮影『キューティーハニーR.C.T. with MEGUMI』ついに発売!


ネットオリジナル『キューティーハニーR.C.T. with MEGUMI』“個人指名版!”
(6人のハニーとハニーフラッシュの写真集未公開カットからお好きなハニーを500円ポッキリでご指名)はこちら!


マンガとアニメと立体と 『マジンガーZ』の造形は、中世の鎧から発想したと書いたけれど、子供の頃には、その他にもいろんなデザインのロボットを、ノートにイタズラ描きしていた。そしてそれをもとに、粘土で立体のロボットを作って、弟と一緒に遊んでいたのだ。ジオラマみたいな舞台を作って、何体も作った粘土のロボットを、どれが一番強いかと考えて強そうな順に並べたり、突然自分が神になって壊したり。


ヨコシマな人が考えた『ゲッターロボ』
『マジンガーZ』は、『デビルマン』と同じく、最初からアニメ化を前提に考えた作品だ。だから同じように、マンガの連載とほぼ同時にTVアニメとして放映された。だけど『マジンガーZ』は、その後『グレートマジンガー』『UFOロボグレンダイザー』とシリーズ化されて、アニメに関しては、『デビルマン』よりもずっと大規模なビジネスを周囲に生んでいった。

 その一番大きな理由は、マジンガーZがオモチャとして商品化され、大いに売れたことだ。僕は、マジンガーZを「超合金Z」という金属で出来ているという設定にした。そこでアニメのスポンサーだったオモチャ会社が、「超合金シリーズ」という金属製のオモチャを発売した。それは大ヒット商品となって、オモチャ会社は、キャラクターの商品化を前提に、喜んで僕のロボットアニメのスポンサーになった。そしてテレビ局とアニメ製作会社は、スポンサーを逃がさないように、次々とアニメの企画を僕に依頼に来たのだ。だから、スポンサーがオモチャ会社の場合──TVアニメでは大体そうなるのだけれど──スポンサーの意向は、非常に影響力が強い。

『マジンガーZ』シリーズとは別に、石川賢ちゃんと合作した『ゲッターロボ』という巨大ロボットのシリーズがある。この作品では、主人公グループのロボット3体が“合体”して、最強のロボットになるのだけれど、この“合体ロボットもの”も、僕と石川ちゃんがパイオニアだと言われている。だけど実をいうと、それをどういう過程で、誰が思いついたのか、僕はよく覚えていない。なにしろものすごく忙しかったので、自分では時間が作れずに、主役ロボットのデザインを石川ちゃんにまかせたくらいなのだ。『ゲッターロボ』は3回のTVアニメシリーズがあるが、1については、特徴である亀甲模様も含めて、完全に石川ちゃんの造形だ。最近石川ちゃんに言われて、2と3は僕のデザインだったと思い出したが、そのくらい記憶が薄い。

“合体ロボット”を考え出したのは誰なのだろう? 何人かの記憶を総合すると、どうやらスポンサーのオモチャ会社から「主人公サイドの、オモチャにできるキャラクターがたくさん出てくるものがいい」と言われたのが発端らしい。『デビルマン』のように、主人公が一人であとは敵ばかりだと、オモチャが売れないのだ。そこで僕と石川賢とウチの社長(弟)とで頭をひねって、たくさん味方のロボットを登場させるために“合体ロボット”を考え出した、というのが真相のようだ。まあ、そういうヨコシマな動機で考え出したのだから、言い出しっぺは社長じゃないだろうか。それは冗談としても、スポンサーの要望から、新しいロボットのコンセプトを考え出したのは事実だ。


僕のマンガは、立体で描いてある
 ほかにも、スポンサーの要望からキャラクターが生まれた例がある。『機動戦士ガンダム』という、ご存じの巨大ロボットアニメシリーズがある。企画段階で参加した友人のSF作家・高千穂遙に聞いたのだが、あの「モビルスーツ」は、ロバート・A・ハインラインの小説『宇宙の戦士』に出てくる、「パワードスーツ」という戦闘服が原型らしい。だから企画段階では、巨大サイズではなくて等身大のメカだった。だが、「等身大じゃオモチャが売れないから、巨大にしてほしい」というスポンサーの意向で、巨大ロボットになった。アニメファンの間では、有名な話らしい。その結果、『ガンダム』は『マジンガーZ』によく似てしまい、フォロワーと呼ばれることになったけれど、アニメとしてもオモチャとしても、大ヒットロングセラー商品になった。

 例によっていつもの余談だけれど、『宇宙の戦士』は最近、『スターシップ・トゥルーパーズ』というタイトルで映画化された。が、これも「パワードスーツが出てこないじゃないか!」ということで、ハインライン・ファンの間で不評を買ったらしい。ポール・バーホーベン監督は「原作を読まなかったので」と言い訳していたが、たぶん別の理由がある。「パワードスーツ」を着るとあまりに強く、また安全すぎて、昆虫型宇宙生物との戦いがスリリングに盛り上がらないと思ったからではないだろうか?

image
キャラクター造形には、立体感覚が欠かせない
 2次元のマンガのキャラクターがアニメになり、それが3次元のオモチャ、つまり“立体”になるというのは、僕にとって非常に嬉しいことだ。なぜなら、僕はもともとマンガのキャラクターを立体として考えているからだ。『マジンガーZ』の造形は、中世の鎧から発想したと書いたけれど、子供の頃には、その他にもいろんなデザインのロボットを、ノートにイタズラ描きしていた。そしてそれをもとに、粘土で立体のロボットを作って、弟と一緒に遊んでいたのだ。ジオラマみたいな舞台を作って、何体も作った粘土のロボットを、どれが一番強いかと考えて強そうな順に並べたり、突然自分が神になって壊したり。ロボットにはいろんな色の着いた粘土を使って、目は黄色いとかヘルメットは何色だとか、色の設定まで考えて作っていた。今思うと、これがキャラクターを作る勉強になった。

 だから『マジンガーZ』を描いたときにも、最初から無意識に、立体としてのプロポーションを考えていたし、色にしても、体のどの部分が何色かということは、いつの間にか決まっていた。だからオモチャ会社も、『マジンガーZ』は立体にしやすかったのではないだろうか。立体といえば、『キューティーハニー』もまた、オモチャ遊びが原点になっている。今でこそ、男の子がアニメの美少女フィギュアを買ったりするけれど、僕が子供の頃は、「お人形遊び」は女の子のやることだ、という風潮だった。だから僕は、お人形遊びをやりたかったのにできなかった。そういう子供の頃のウラミを晴らすために、僕は大人になってから、着せ替え人形的に変身する『キューティーハニー』を描いたのだ。

 さて、アニメ『マジンガーZ』シリーズが大ヒットすると、想像もしていなかった社会現象が巻き起こった。それもなんと、海外でだ。次回は、そのことを書こう。


<第34回/おわり>

(c)永井豪/ダイナミックプロダクション2002-2003
(c)Go Nagai/Dynamic Production Co., Ltd. 2002-2003



永井豪(ながい・ごう)
1945年9月6日、石川県輪島市に生まれる。石ノ森章太郎氏のアシスタントを経て、'67年『目明しポリ吉』でデビュー。'68年『ハレンチ学園』を連載開始、たちまち大人気を博し、以後現在に至るまで、幅広いジャンルの作品を大量に執筆し続けている。代表作は『デビルマン』『マジンガーZ』 『凄ノ王』『キューティーハニー』など多数。


ネットオリジナル版・完全未公開カットからお好きなハニーを選んでご指名! キューティーハニーR.C.T. with MEGUMI

永井豪×夢枕獏 対談

永井豪×水木しげる 対談

永井豪×モンキー・パンチ 対談

豪氏力研究所  りてる


講談社は、インターネット及びイントラネット上において、閲覧者が当社の出版物及び当サイト上の画像を以下の行為に使用することを禁止しております。
  • 出版物の装丁及び見開きなどの画像の全体または一部を掲載すること。
  • 出版物の内容及び目次などの全体または一部を掲載すること。
  • 出版物の要約及び出版物を元に制作した小説などを掲載すること。
  • キャラクターの画像及び写真などの全体または一部を掲載すること。
  • キャラクターの自作画(イラスト・パロディなど)を掲載すること。
  • 出版物やキャラクター(自作画を含む)フリーソフトやアイコ ン、壁紙などに加工して掲載すること。
  • 当サイトの内容(画像・データソース)の全体または一部を掲載 すること。
以上の行為は営利非営利の目的いかんに関わらず著作権等の権利侵 害となります(著作権法23条、同条21条。公衆送信権。複製権。その他)。 守っていただけない方には法的手段を講じることも ありますので、ご注意ください。

Copyright(C) 2002-2003 KODANSHA CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED.
webgendai