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サンディエゴで行われた、コミック・コンベンションに参加。 |
その南米旅行から帰ると、小松さんと豊田さんから連絡があった。「SF作家クラブに入らないか。筒井さんも推薦人になると言ってるよ」。なんでも、漫画家では手塚治虫先生に次いで2人目とのことだった。僕は喜んで、この楽しい人たちの会に参加させてもらうことにした。日本SF作家クラブは、純粋に親睦を目的とした組織で、法人でも営利団体でもない。だから逆に、メンバーが認めた人しか入れず、推薦人が2名必要ということになっている。普通は、SF作品を発表して高い評価を得た人が、メンバーの誰かが推薦されて入会に至る、という流れだ。でも僕の場合は、SF作品を描く前から知り合いになっていたし、「なんとなく気に入られて入っちゃった」という感じがしなくもない。その後僕は、1996年から2000年まで、第9代の会長を務めることになった。
僕が日本SF作家クラブに入会した当時は、星新一さん、小松左京さん、筒井康隆さん、豊田有恒さん、眉村卓さんほか、そうそうたる作家が活躍していて、SF界がものすごく盛り上がっていた。そのため、新しい若い才能も続々誕生していた。僕のあとに入会してきた作家には、山田正紀さん、川又千秋さん、横田順弥さん、栗本薫さんなど。これらの作家の人たちと、全国で開催されるSF大会に参加したり、一緒に旅行したり、食事に行ったり、それは今でも続いている。特に、川又千秋さんは、僕の会社のご近所に住むようになったので、ちょくちょく会っている。
「TOKON5」に行く少し前、先輩マンガ家の方の紹介があって、僕は「日本漫画家協会」に加入した。SF作家クラブと比べると、漫画家協会は真面目な団体だ。いや別に、SF作家クラブが不真面目だというのではないけれど。「漫画家としての活動」とか「漫画家の権利」とかが漫画家協会の議題なので、みんなで一緒になって遊ぶ、という感じではない。のちに、石ノ森先生の呼びかけで「MANGA JAPAN」という新団体ができて、そちらにも参加して幹事をやったりしたけれど、こちらは今は抜けさせてもらっている。それに比べると、SF作家クラブでのお付き合いは、ずいぶん長く続いている。
なぜ、こんなにSF作家クラブは居心地がいいのだろう。他の人たちはほとんどがマンガ家じゃないので、商売敵にならないないから──というのは、冗談だけれど。要するに、その趣旨が「仕事は関係なく、SF好きが集まって遊ぼう!」という、仲良しクラブだからだろう。過去に文壇で差別された、ということを笑い話で聞いたけれど、そのせいかとにかくみんな仲がいいし、後輩にも面倒見がいい。映画とか小説とかマンガとか、みんな趣味もよく似ている。それに揃って冗談が好きで、会うと一日中バカな話ばっかりして喜んでいる。だから、理屈抜きに楽しいのだ。
唯一の不満は、SF作家には、一緒にゴルフに行ってくれる人が少ないところかな。というわけで、次回は同業者であるマンガ家を中心とした、ゴルフ仲間を紹介させてもらいます。
<第58回/おわり>
(c)永井豪/ダイナミックプロダクション2002-2003
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